文脈の事故

オール・ノンフィクション

爆欲セットをよく頼んでいた。フライドポテトのLサイズ、ブルーハワイフィズ、チョコファッジ、ナゲットとバーベキューソース。800いくらかするし明らかにコスパは悪いのだが、そこに自分の食べたいものが詰め合わされていて、重くかさばった紙袋を研究室の方向に向かわせる。夏が静かに終わりに向かっていた。体は相変わらず気怠いままで、これは春休みから引きずっていた。どこかで鞭を打たなければならない。しかし映画の中の怠惰な主人公のごとく、お前わかってないなとか言って、何もかも衝動に任せてしまい、鳥は泳いでいる。西日が火照った体を熱く照らし、今日の運転のことを思い出す。アクセル、ブレーキ、Uターン。筋トレの代わりの細やかな反復を車に寄せているだけなのではないか、と都合のいいお昼の釈明をしている。同乗していた母親から何か言われた気がするけど都合がいいからもう思い出せない。あと1、2週間も経てば運転できるようになれる気がした。もう少し時間が欲しい。続きをやらせてほしい。軽く絶望していた気分で空を見上げる。何もない。何者かになるために院進したの?と問うた自分の言葉を思い出す。