文脈の事故

オール・ノンフィクション

最寄り駅の近くの喫煙所に、木にいる鳥と喫煙者たちがたむろしている。

今日で藝祭がようやっと終わった。おれは過去作を出してて、藝祭効果もあり、人がわんさかごった返していた。

その中で思い出したのは、昔、小学二年くらいの時にあった伝統だった。それは毎夏の暑く蒸し蒸した夜に、本当に近所の、道を曲がった角の家で行われる。その近くに古いフィルムの投影機を持ったおじさんがいて、毎夏その時期になると子ども向けの映画をフィルムで上映してくれるのだった。ある年はジャングル大帝だった。しかしそのような伝統は三年かしたらいつのまにか消えていて、おれはもう二度とあのような、投影物を大勢で囲んで眺める光景が見れなくなってしまったと思った。

しかしその風景は今日の今日で思い出された。全く同じ構図の風景が、自分の作品を通して見れたのだった。映像を見たいという人間の欲求が現れ、まじまじとその投影物は眺められた。こうして見ることが叶えられたその光景にひとしきり感慨を覚えながら、やはり観客が笑みを浮かべたり笑い声を上げたりしてくれることは嬉しくて、作ることはこのためにあったのかもしれないと思ったし、まぁそんな難しく考えずにここで一休みしていけば?みたいなゆるさで臨んでいた。祭だし。

台風が迫っていて、そのせいで今日は早めにクローズしてしまった。今日もいろんな人が来てくれた。ロンドンはゴールドスミスでキュレーションやってる学生、sfcの二つ下の後輩たち、某コンペの作品審査で会った先端の人、怖い…と言ってはそっぽを向く女の子、