文脈の事故

オール・ノンフィクション

2020/02/03

展示が終わってすっかり休憩をしていた。リハビリ。あらゆる物の。年々悲しい出来事が多くなってるような気がした。あいつのせいで不感症になったはずなのに不器用な縄張りがあった。呼吸の音が一面にこだまする凍った湖畔。そのふもとで僕は湯気のたった珈琲を一杯飲んでいた。正確な時間をひとたび忘れてしまえば、どこかの授業で見たシュレティンガーの猫の箱の図のように、永遠に回り続ける輪廻が僕の体を縛り付ける。あなたみたいな人がいた。あなたみたいな人が沢山いたよ。その中からあなたを探す旅をしていた。でも結局見つけることはできず、ただただ回り続けていた。誰か迎えに来て。何度も言った。特に夜9時頃になると、その兆候は何度も現れた。迎えに来る車や男を何度も想像した。幻想に悩まされているのを止めようと、不確かな輪郭をなぞり続けていた。一研究室の二畳半の与えられたスペースの中で、いともなく回想は回り続ける。