文脈の事故

オール・ノンフィクション

2022/08/12

多分おれが女性だったら誘われたかもしれないシチュエーションを思い出す。授賞式の帰りに審査員の男と一緒に地下鉄に乗って他愛のない話をして先に降りる。中目黒のサシでお刺身を食べる。バイトのために事務所にい続けていたらお前かよという機嫌で突っ伏して寝られちゃう。どこかの男と二人きりになっては誘われない。数多のよそ話を耳にしてはご時世のポリコレ的に正しくないよねと反応しつつ、どこか奥底で羨んでいる。最近友人へのゆるやかなカムアウトをinviting inと云うのだと知っていくばくか軽くなった。