文脈の事故

オール・ノンフィクション

参勤交代

ある朝、母からこんなメールがきた。「お父さんが定年で、給料は、22万、今の半分いかになります。」

私の両親はもうすぐ還暦を迎える。

父は早めに定年退職することを決めていた。

働かなきゃ。

私立の中高一貫校に行き、一年間の留学もした。おまけに中3、大2の頃に外部のスクールに行った。それだけではない。高額の塾に行ったし、高値の海外旅行も多くを払ってもらっている。そして私大に行き、いまは別居。決して恵まれてはないものの、これでもかというほどお金を払ってもらった。だから、返さないと。という意識があった。

父が定年退職するとき、私は働き始める。リレーのように思える。父はコネで入った会社を37年間働いたのち、そのバトンを、私に渡そうとしている。しっかりバトンを受け継ぐよう、私が変な道に入らないよう、教育を受けさせてくれた。