文脈の事故

オール・ノンフィクション

生乾き

奨学金の選考に落ちて、奨学生とあわよくば仲睦まじくなってそのままパートナーになることも、本命の本選考に落ちて、代々木上原のマンションの一室で多肉植物と暮らして彼女と同棲することも、破れてしまった今にとって、なにがしたかったのか、なにが欲しかったのか、なにが幸せか。残りの人生がコーヒーだとして、一日一口飲むとして、飲み干した時が死を意味するとして、いかにして納得して飲み干せるか。元気かと訊かれた時に、元気じゃないと答えられる仲がほしい。種を残せばいいんじゃないと言われた一言が心に残っている。また明日も一口だけ飲む。