文脈の事故

オール・ノンフィクション

わかんない物事たち

わかんない物事たちが目の前にうずくまっている。

ある日、ゲイカップルの夫夫のブログを見ていて、その幸せさとか、日々に満足している感じを見て、こういう幸せもあるじゃんと思ってしまった。子どもはいなくても、二人で愛し合っていた。外で手をつなぐことはできなくても、文面から溢れ出るその幸せに結婚観が揺らいでいる。

ある日、行きたい大学院のパンフレットを見ていて、在学生の声の在学生の写真がいいなと思って、ネトストしていた。そしたらその人が学部時代に作った卒制が出てきて、それがゲイの恋愛映画だった。片方はゲイなんだけども子ども欲しさを理由にレズと結婚して人工授精に苦労しているという展開。自分を重ねざるを得なかった。そっか人工授精という手もあるのかと思って、ググってみて、そしたら一回12万円とかするらしくて萎えた。おれは普通になりたかった。

これは親のせいじゃなくて自分のせいなのだ。自分が自分を何年も経てバイに作り変えてしまっていたのだった。異性を好きだという感情は幼少期からもあったから。わかんない物事たちはおれが得意な放置を経てわかんないままになる。普通になれればいいのに、普通というか純粋なヘテロセクシャルになれればいいのにという欲望を抱きながら。