文脈の事故

オール・ノンフィクション

2021/10/21

初めて人形劇を観に行った。夜20時から始まるその名も「Death Cleaner」。タイトル負けと夜の人形劇という得体の知れなさにそそられて、遠くの劇場へ足運ぶ。

終演後の拍手が暖かかった。劇団員らしき人が二人、テクガイが一人いて、拍手が収まらないたびに舞台上に出てきて一礼してた。中では酒を飲んでる人もいて、マスクを外して各々ゆったり楽しんでいた。客層もおじいちゃんとか若い男女とか。客数がこじんまりしてたからか、雰囲気も終始穏やかで、時々笑ってた。

劇の内容は断捨離する主人公たちがやむを得ず捨ててしまったものに後悔し、Death Cleanerなる清掃業者が駆けつけ、助けるそぶりをする的な。実際は助けてなくてそこに来ただけ。ドイツ語なので完全にはわからないけど、ちょくちょくコロナネタとか設定ネタを挟むから笑えた。

それよりも長い拍手の方が印象に残った。長い休止符を経てようやく人形劇が戻ってきたことへの祝福のように思えた。歓迎したくて、どうにも嬉しくてBlumenの語が似合うような拍手。陳腐な言い方だけどもそういう個人的で大事な瞬間に立ち会えてよかった。劇場から駅に向かう帰路で静かなピアノ曲が頭の中に響いていた。