文脈の事故

オール・ノンフィクション

2023/05/31

まだ日の明るい午後8時に僕は学校に行く。まるで午前8時みたいに。時間が余っているから。

放課後みたいな時間が三年間続いていた。わたしだけこんな茫漠な時間を過ごしている気がした。ねぎのすき間をイメージする。少しの間に米粒が流れている光景を想像した。白い画面に黒い線の手描き。

東京にいた頃は学校が終わって時々男の家に電車で向かって寝泊まりしていた。今はそれも無く、実に穏やか、大したことは何も起きない、でもわたしのやりたい事をやれているから静かな充実がある。静かな楽園に三年もいたらきっと飽きる。アフリカの諺。

民俗学の本を読んでいると各国の諺に出くわす瞬間があって、それ諺になれるんだとか思う。部外者ゆえの感想だろう。

置いてけぼりにする夢と置いてけぼりになる夢を同時に見たらどんな感想を抱くのだろう。

天気が良く日が長くなった。良いことだと思う。

公園の横を通り過ぎる。ベージュ、白、黒い犬がじゃれ合っている。わたしも仲間に入れてと思わず言いたくなる激しさ。

そろそろ学校に着く。