文脈の事故

オール・ノンフィクション

2019/12/14

言いたいことがすっかり言えなくなってしまった。今日は遠くで晴れている。意味のない雨がざあざあと降っている。何もかも溶けてしまえばいいのに。何もかもてろてろと火照ってしまえばいいのに。思い続けた矢先、叱られる夢を見る。あああなたはそこにいるんだよ。指先からつま先からかかとから、私はあなたとの僅かながらの安心と立て続けの食事を待ち望んでいたよ。違うと思った関係に蓋をして、なかったことにして、忘れて眠る。わかっていたことを無しにして通り過ぎていった日々を顧みる。あなたが部屋で異性と安心と食事していたときに、私はこんなことをしていました。それはべつに、決して交わらないだろうから、どうでもいいんです。でも私は、どうでもいいその安心を、私が安心できない宿命を選びとったものだから、襖を少しだけあけて、覗いてみたかったんです。ごめんなさい。いくら罵られようが、貶されようが、私にはそんな欲しかなく、食事が生まれる国の率には貢献できない人間です。落とし穴に嵌って冬眠したらそこで終えられるのかな。本当は僕だって食事したかったよ。一生どうでもいいようなフィルムを撮り続けて、食事が「これ父親が遺したフィルムか。置き場所困るけど取っておこう」みたいな未来。その食事は、甘くて、苦くて、どろっとしていて、硬かった。噛めるような人生じゃなかった。昨日あなたみたいな人を夢で見た。あなたみたいな人だったから、どうでもよかった。あなたみたいな音がしていたから、どうでもよかった。散って蹴って屋根の上で眠りたかった。ただただ長時間、誰にも気づかれないような場所で、眠って眠りたかった。だからこれは、硬くて気難しくてやさしい、一編の食事の詩。